7,579票が集まったSURF&SNOWの利用者アンケートを見ると、選ばれる理由はもっと多彩です。食事、スタッフ、初心者への優しさ、滑らない人の過ごし方、そして“人に教えたい穴場感”。ランキングの順位以上に注目したいのは、お客様がスキー場を評価する物差しそのものです。
国内最大級のスキー場情報サイト「SURF&SNOW」は、2025-2026シーズンにスキー場を利用した10代〜60代の男女を対象にWebアンケートを実施し、6テーマ・5エリアのランキングを発表しました。
この記事では結果を紹介しながら、SNOW MAKING編集部の視点で「なぜその評価が集まったのか」「日本のスキー場経営や集客に何を持ち帰れるのか」を読み解きます。

まず押さえたい、6つの評価テーマ
結果から見える「総合力」と「尖った強み」
ランキングを横断して見ると、大きく二つの勝ち方が見えてきます。一つは、複数テーマで上位に入る総合力。もう一つは、「初心者ならここ」「穴場ならここ」と明確な印象を持たれる専門性です。
| エリア | 複数テーマで目立ったスキー場 | 結果から見える特徴 |
|---|---|---|
| 北海道 | ルスツリゾート/名寄ピヤシリスキー場 | ルスツは快適性・食・非滑走体験・接客で強さ。名寄は初心者・穴場を含め、規模とは別の支持を獲得。 |
| 東北 | 星野リゾート ネコマ マウンテン/会津高原南郷スキー場 | ネコマは総合体験、南郷は食・接客・穴場というローカルな魅力が評価。 |
| 関東 | 川場スキー場/たんばらスキーパーク/オグナほたかスキー場 | 一強ではなく、食と快適性、接客と初心者、穴場という得意分野が分かれた。 |
| 甲信越 | 野沢温泉スキー場/スノーリゾート ロマンスの神様/つがいけマウンテンリゾート | 温泉街を含む滞在価値、親しみやすさ、初心者導線など、異なる理由で支持。 |
| 西日本 | グランスノー奥伊吹/ひだ流葉スキー場 | 奥伊吹は5テーマで1位となる総合力。流葉は穴場1位で、強い個性を示した。 |
注目したいのは、必ずしも最大規模のスキー場だけが評価されていないことです。設備投資の大きさだけでなく、「誰に、どんな一日を届けたいか」が利用者へ伝わること。それが小・中規模スキー場にも十分な競争力を生みます。
ゲレ食は、付帯売上ではなく来場動機になる

食事は、リフト券以外の売上をつくるだけではありません。「あのメニューを食べたい」が同行者を誘う理由になり、悪天候の日にも滞在価値を残します。野沢温泉、川場、グランスノー奥伊吹など、それぞれ異なる立地の施設が1位となったことも象徴的です。
大切なのは豪華さだけではありません。地元食材、看板メニュー、提供の速さ、席の見つけやすさ、SNSで共有したくなる見せ方。飲食をゲレンデ運営の脇役ではなく、一日の物語をつくる部門として設計できているかが問われています。
“滑らない人”をお客様として考える

家族やグループ全員が同じ熱量で滑るとは限りません。野沢温泉、蔵王温泉、草津温泉のように地域の温泉や街と一体になった場所、白馬岩岳のように眺望や山頂体験を磨いた場所は、「滑走しない同行者も行きたい」という選択肢をつくります。
雪景色を見たい人、温泉へ入りたい人、子どもの雪遊びを見守る人、写真を撮りたい人も冬山の顧客です。スキー場単体ですべて用意する必要はありません。地域の温泉、飲食店、交通、観光施設を一日の過ごし方としてつなぐことが、来場者の裾野と地域消費を広げます。
スタッフの対応は、設備差を越える競争力

スタッフの対応は、アンケートの中でも経営にとって重要な項目です。リフト、レンタル、レストラン、スクール、パトロール、駐車場。来場者は組織図ではなく、一つのスキー場としてすべての接点を受け取ります。
笑顔を求めるだけでは再現性がありません。案内の基準、混雑時の声かけ、初心者が困りやすい場面の共有、部署を越えた情報連携があってこそ、現場の親切が安定します。接客評価はスタッフ個人の資質ではなく、採用・教育・配置・休憩まで含む運営品質の結果です。
初心者への優しさは、未来の市場をつくる

初心者向けという言葉は、緩斜面があることだけを意味しません。駐車場から受付まで迷わない、道具の使い方を聞きやすい、リフトへ安全に乗れる、疲れる前に休める、家族が合流しやすい。初めての人が経験する小さな不安を、一つずつ取り除くことです。
名寄ピヤシリ、EN RESORT Grandeco、たんばら、つがいけ、グランスノー奥伊吹が各エリア1位となりました。初回来場者が「自分にもできた」と感じられれば、次は友人や家族を連れて戻ってきます。初心者対応はサービス施策であると同時に、スキー産業の顧客基盤をつくる投資です。
穴場という評価は、小さなスキー場への追い風

穴場は「知られていない」の言い換えではありません。混雑が少ない、雪が残る、地形がおもしろい、スタッフとの距離が近い、地域らしい時間が流れる。規模で大手と競わず、自分たちの魅力が最も届く層を選べるカテゴリーです。
一方、穴場として注目が集まれば、混雑や駐車、情報不足といった新たな課題も生まれます。静けさやローカル感を壊さずに受け入れ能力を整えることまでが、魅力を持続させる経営です。
ランキングを、来季の改善へ変える5つの問い
今回の調査はSURF&SNOWサイト上で行われた自社Webアンケートで、投票者の属性構成や各施設の来場者数を調整した市場シェア調査ではありません。順位を施設の絶対評価と捉えるのではなく、「積極的に投票した利用者が、どんな価値に反応したか」を知る材料として見るのが適切です。
編集部まとめ――選ばれる理由は、一つでなくていい
今回のランキングが教えてくれるのは、スキー場の価値がゲレンデスペックだけでは測れないということです。食事、人、初心者への支援、地域観光、混雑の少なさ。どれもお客様の一日を構成し、再来場の理由になります。
すべてを一度に強くする必要はありません。総合力を磨く道もあれば、「この人にとっては日本一」と言える一点を育てる道もあります。自分たちの山の強みを見つけ、現場のみんなで言葉にし、来場者へ届ける。その積み重ねが、日本のスキー産業全体をもっと豊かにしていくはずです。
出典:一般社団法人 日本料飲外国人雇用協会/SURF&SNOW「投票によるスキー場のランキングを発表!利用者の本音を大公開!」(PR TIMES、2026年6月17日)、SURF&SNOW SKI RESORT RANKING 2025-2026。
本記事は公開情報をもとにSNOW MAKING編集部が独自に構成・要約し、スキー場経営と集客の観点から分析を加えています。ランキング画像はプレスリリース配布素材を使用しています。掲載内容は2026年9月22日時点です。

