活動報告書が、読める作品になった。ムラキユウトのスキーZINE『WHITE SPIDER 03』

雪山のゲレンデを見渡す風景 業界ニュース
ムラキユウト『WHITE SPIDER 03』より

スポンサーに活動を伝える報告書を、スキーを知らない人も楽しめる読み物にできないか。新潟出身のスキーヤー、ムラキユウトさんが公開した『WHITE SPIDER 03』は、その問いにひとつの形を示している。雪山での一日、地域の店、ジュニア育成、道具との付き合い方。滑走結果だけでは見えてこない、ひとりのスキーヤーの輪郭が16ページに収まった。

活動報告書から、手に取りたくなるZINEへ

ムラキユウトさんはもともとスポンサーに向けた活動報告を紙にまとめていた。写真を加え、レイアウトを工夫するうちに、報告書は自分のシーズンを振り返るZINEへと育っていったという。第3号となる今号は、2026年6月23日にnoteで公開。PDFをスマートフォンで読むことも、カラー印刷してページをめくることもできる。

表紙の雪山とリフトから始まり、見開きの写真、余白を生かした文章へ。数字や実績を並べるだけでは伝わりにくい「どんな時間を雪山で過ごしているのか」を、読む人が自分のペースでたどれる作りだ。

雪山のリフトと表題を配した『WHITE SPIDER 03』の表紙
『WHITE SPIDER 03』の表紙。資料:ムラキユウト『WHITE SPIDER 03』

朝5時30分から始まる、雪山の一日

誌面には、ムラキユウトさんの一日の流れが時刻とともに描かれる。朝5時30分、車中で目を覚まして体を整え、仲間と合流。ロープウェーを待ち、朝の雪へ向かう。滑り終えた午後はカフェで写真を見返し、本を読み、風呂に入り、地元の食堂で一日を締めくくる。

ここで印象に残るのは、滑る前後の時間まで雪山の楽しみとして語っていることだ。ムラキユウトさんは、好きな遊び場を残すためにも、その土地の店でお金を使うことを大切にしている。コーヒーや食事の話は寄り道ではなく、スキー場の周りで過ごす人の活動報告そのものになっている。

カフェのテーブルに置かれたコーヒー
雪山の一日の中にある、カフェでのひととき。資料:ムラキユウト『WHITE SPIDER 03』

次の世代が滑る場所にも目を向ける

『WHITE SPIDER 03』は個人の滑走記録にとどまらない。ムラキユウトさんは奥只見スノーアカデミーでジュニア育成を支え、奥只見丸山スキー場や魚沼市薬師スキー場を舞台に、トレーニングや大会に関わっている。全日本ジュニアスキー技術選手権大会に挑む選手を支える活動にも触れ、関係者の連携をさらに強めたいという思いを記している。

スキーヤーの仕事を「自分が滑ること」だけで捉えない視点が、このZINEの芯にある。次に雪の上に立つ子どもたち、その練習の場を支える人たちも、ムラキユウトさんのシーズンの一部なのだ。

スキー場で活動するスキーヤーの姿
ジュニア育成についても誌面で紹介している。資料:ムラキユウト『WHITE SPIDER 03』

道具はシンプルに、雪山との関わりは豊かに

用具のページでは、ムラキユウトさん自身が選ぶExtrem Ski Coのスキー、CASTのビンディング、PHANTOMのベース処理を紹介する。スペックの比較表ではなく、なぜその組み合わせで山へ行くのかを、本人の使い方や感覚に沿って読むページだ。

一方で、誌面は日本の雪、地域の食、温泉を海外のスキーヤーとも分かち合いたいという思いへ広がる。道具を絞って身軽に滑り、その土地で過ごす時間は深く味わう。そんなムラキユウトさんのスキー観が、用具の話と地域の話をつないでいる。

ビンディングを取り付けたスキー板
ムラキユウトさんが誌面で紹介するスキー用具。資料:ムラキユウト『WHITE SPIDER 03』

一人の記録を、開かれた読み物に

スポンサーへの報告を公開のZINEにすることで、活動の受け手は支援者だけでなくなる。読者は滑りの場面に加え、ジュニアを支える現場や地域での時間にも触れられる。ムラキユウトさんが今、何を大切にして雪山に立っているのかが伝わる。

シーズンの成果を一枚の報告で終わらせず、写真と文章で次の会話を生む。『WHITE SPIDER 03』は、スキーヤーが自分の活動を伝える方法を広げる一冊だ。本文とPDFは、ムラキユウトさんのnote「WHITE SPIDER 03」から読める。

資料:ムラキユウト『WHITE SPIDER 03』(2026年初夏発行)、note「WHITE SPIDER 03」(2026年6月23日公開)。誌面の画像を使用。

SNOW MAKING編集部

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SNOW MAKING編集部は、スキー場経営、雪づくり、索道・設備、人材、地域観光など、日本のスキー産業を支える現場の挑戦と技術を取材・編集しています。利用者と産業の双方に役立つ、正確で読みやすい情報発信を大切にしています。

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