ゲレンデマップは「更新する現場」まで設計する――スキー場DXの新サービスを読む

SUPERゲレンデMAPのサービスイメージ 業界ニュース
画像提供:ジオ・マーク株式会社/PR TIMES
この記事の視点|案内図は、営業中も更新される「現場の情報」
紙の地図をスマホに移しただけでは、迷いを減らせない。リフトの停止やコース変更を誰が、いつ伝えるのか。新サービスを通して、ゲレンデ案内の運用を考えます。

朝は動いていたリフトが、風で止まる。昼に開く予定だったコースの安全確認が延びる。ゲストが見ている地図の情報が古ければ、現場の案内はむしろ難しくなる。ジオ・マークが発表した「SUPERゲレンデMAP」は、スキー場の地図をスマートフォンで見られるようにするWebアプリ型のサービスだ。その価値を考えるなら、地図の見栄え以上に「変更をすぐ伝えられる仕組み」に注目したい。

まず、ゲストには何が変わるのか

発表によると、アプリのインストールは不要。スキー場に掲示されたQRコードなどからアクセスし、現在地やコース、施設、リフトの運行状況・営業時間を確認できる。日本語、英語、中国語、韓国語などに対応し、最大32言語まで提供可能という。音声読み上げにも対応する。

初めて訪れる人には「自分が今どこにいて、どこへ行けばいいか」が重要だ。広いゲレンデでも、家族とはぐれたときでも、紙を広げずに情報を確かめられる。ただし現在地表示は端末や通信環境などの条件に左右される。現地の標識とスタッフによる案内も引き続き大切になる。

SNOW MAKING EDITOR’S NOTE

「どのリフトが動いているか」を表示するなら、止まったときの更新まで運用を決めたい。情報の鮮度は、安全な行動を支える品質の一部だ。

経営者が見るべきは、導入後の仕事の変化

紙のゲレンデマップは制作、印刷、配布、改訂のたびに費用と作業が生じる。一方で紙には、電池や電波に頼らず使える利点もある。サービスは紙との併用を想定しており、発表段階で紙を全廃する話ではない。たとえばまずリフト乗り場と案内所にQRコードを置き、よく尋ねられる情報からデジタル化する。現場の動線を見ながら配布部数を見直すのが現実的だろう。

運営側の管理画面では、コース、積雪・天候、施設などの情報更新ができ、時間に応じた状態切り替えにも対応するという。ここで整理したいのは、予定時刻で切り替わる情報と、強風や故障など突発的に変わる情報は別という点だ。突発事象を誰が入力し、誰が確認して反映するか。パトロール、索道、インフォメーション間で連絡をどうつなぐか。システム導入と合わせて、そのルールを作る必要がある。

「見られた地図」を次の改善に変える

サービスにはアクセスや閲覧傾向の把握、CSVでのログ活用も含まれる。たとえば食事場所へのアクセスが特定の時間に集中するなら、案内の置き方や飲食店の情報表示を見直す材料になる。夏や紅葉期の表示にも対応可能で、通年の施設案内として育てる選択肢もある。

ただ、閲覧数と実際の来店・売上は同じではない。導入効果を測るなら、「案内所への問い合わせ数」「紙の配布量」「更新にかかった時間」「施設への送客」など、現場で追える指標を先に決めておきたい。ログの取得・利用についてはゲストへの説明や取り扱いも確認が必要だ。

導入前に確認したい4つの問い

  1. 情報の責任者:リフト停止・再開やコース変更を誰が入力し、誤表示をどう修正するか。
  2. 多言語の品質:安全上重要な表現を、実際の来場者が理解できるか。
  3. 現場の使い勝手:QRコードの掲示場所、通信状況、紙との併用範囲は適切か。
  4. 成果の見方:問い合わせや印刷の負担、施設利用の変化を何で測るか。

標準プランは1シーズン30万円(税別)からと発表されている。地図のデジタル化、リフト情報、現在地表示、経路案内、多言語、CSVデータなどが含まれるというが、個別の構成と運用条件は確認したい。スキー場の案内図は、静的な広告物から営業中の情報基盤へ。地図を更新する人まで含めて設計できるかが、実際の価値を分ける。

出典:ジオ・マーク株式会社のプレスリリース(PR TIMES)。サービス内容・料金は発表時点の情報。導入・運用上の論点はSNOW MAKING編集部の考察です。

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SNOW MAKING編集部は、スキー場経営、雪づくり、索道・設備、人材、地域観光など、日本のスキー産業を支える現場の挑戦と技術を取材・編集しています。利用者と産業の双方に役立つ、正確で読みやすい情報発信を大切にしています。

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