雪が降った朝、斑尾の木々の間を滑る一日を思い浮かべるだけで、早く冬が来てほしくなる。長野・新潟県境の斑尾高原スキー場は、2026/27シーズンから世界の雪山を巡れる「IKON PASS」に加盟すると発表した。12の公式ツリーランコースで知られる“マダパウ”が、世界70以上のデスティネーションを選ぶ滑り手の旅程に入る。
スキー場巡りが好きな峰山 直として気になるのは、「海外から人が来る」だけで終わらないこと。初めて斑尾を訪れる人はどんな雪や地形を楽しめるのか、日本のスキーヤーはこのパスをどう使えるのか。まずはIKON PASSの仕組みから整理したい。

そもそもIKON PASSとは?
IKON PASSは、米国コロラド州デンバーに本社を置くAlterra Mountain Companyが展開する、複数のスキーリゾートを横断して利用できるシーズンパスだ。北米を中心に、ヨーロッパ、オセアニア、アジアまで70以上のデスティネーションへアクセスできる。
一般的な「一つのスキー場のシーズン券」と異なり、旅先ごとにリフト券を買うのではなく、ひとつのパスを軸に複数の雪山を巡れるのが特徴だ。海外旅行とスキーを組み合わせる人や、一冬に複数地域を滑る人ほど価値を感じやすい。
ただし、「すべての加盟スキー場を何日でも無条件に滑れる」という仕組みではない。商品はIkon Pass、Ikon Base Pass、Ikon Session Passなどに分かれ、利用可能日数、除外日、予約の要否はパスの種類や各デスティネーションによって異なる。斑尾での具体的な利用条件を含め、購入・旅行前にはIKON PASS公式サイトの最新情報を確認したい。
“マダパウ”が世界の旅程に入る
斑尾高原は、豊富な天然雪を“Madapow(マダパウ)”の愛称で発信し、日本最大級とされる12の公式ツリーランコースを整備してきた。東京から約2時間半というアクセスもあり、深雪と変化に富んだ地形を求める国内外の滑り手に支持されている。
IKON PASSへの加盟は、その魅力を世界市場で見つけてもらうための強い入口になる。海外のパスホルダーにとって斑尾は、知らないスキー場を一から探す候補ではなく、「すでに持っているパスで滑れる行き先」として旅程に入りやすくなるからだ。
一方、国内のスキーヤーが斑尾だけを滑るためにIKON PASSを購入するかどうかは、価格や利用条件、海外・国内のほかの加盟地をどれだけ巡るかで判断が変わる。最大の魅力は、斑尾を含む複数の雪山を一つのシーズンプランに組み込める点にある。
一つのパスが、旅先の候補を増やす
私が旅先を探すなら、すでに持っているパスで滑れる山は候補に入りやすい。斑尾のツリーランに惹かれて訪れ、近くの山にも足を延ばす。IKON PASSの加盟は、そんな「次はどこへ?」を生む入口になりそうだ。
ペイシャンスキャピタルグループ(PCG)は、2025/26シーズンから加盟した妙高杉ノ原スキー場に続き、斑尾高原をIKON PASSのネットワークへ加える。斑尾高原ホテルをアコーグループの「MGallery Collection」としてリブランドする計画も進めており、滑走、宿泊、地域滞在を一体で磨く姿勢が見える。
地域に生まれるのは、来場者数以上の変化
海外ゲストの滞在が伸びれば、宿泊、飲食、レンタル、交通、温泉、ガイドなど、消費はゲレンデの外へ広がる。斑尾と妙高杉ノ原という近接する二つの加盟地を巡る動きが生まれれば、単日利用から周遊・連泊へと旅行の形が変わる可能性もある。
同時に、受け入れ側には多言語案内、アクセス情報、決済、レンタル、スクール、混雑管理、安全ルールの伝達といった運営品質が求められる。パウダーやツリーランの魅力を守りながら、初訪問のゲストにも迷いのない体験を提供できるか。加盟はゴールではなく、世界水準のサービスを地域全体でつくるスタートになる。
日本のスキーヤーにとっての新しい選択肢
斑尾が世界の有名リゾートと同じパスに並ぶことは、日本の雪山が国際的な旅の目的地として評価される機会を広げる。国内ユーザーにとっては、いつもの斑尾から海外の雪山へ、あるいは海外旅行から斑尾へという、双方向の旅を考えるきっかけにもなる。
次の冬、“マダパウ”を滑る一日が、世界の雪山を巡るシーズンの一部になる。IKON PASS加盟が斑尾の個性を薄めるのではなく、その雪と地形、地域らしい滞在をより多くの人に届ける仕組みになるか。2026/27シーズンの動きに注目したい。
斑尾高原スキー場 公式サイト
IKON PASS 公式比較ページ
※IKON PASSの対象リゾート、利用日数、除外日、予約条件、価格等は変更される場合があります。購入・利用前に公式サイトで最新条件をご確認ください。
情報・画像提供:ペイシャンスキャピタルグループ株式会社(PR TIMES掲載素材)
参考:PR TIMES掲載プレスリリース、IKON PASS公式サイト
本記事は提供情報と公式情報をもとに、峰山 直が滑り手の視点から構成・解説しています。現地取材記事ではありません。


