皆川賢太郎氏がJAM福井勝山の経営へ。通年化を実行する副社長兼事業責任者という役割

JAM福井勝山マウンテンリゾートの新しい経営体制を紹介する写真 業界ニュース
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)

名称を変えるだけで、山で過ごす時間の価値が変わるわけではありません。ゲレンデ、ホテル、食、温泉、そして地域との接点を、誰がどの責任で動かすのか。リブランドの次に問われるのは、その実行体制です。

JAM福井勝山マウンテンリゾートを運営する勝山高原開発株式会社は、皆川賢太郎氏の副社長兼リゾート事業執行責任者への就任を発表しました。元アルペンスキー日本代表で、株式会社Japan Snow Mountain Consulting(JSMC)代表取締役を務める皆川氏が、リゾート経営に参画します。

同社が掲げるテーマは、規模の大きさから体験の質へ。2026年4月のリブランドを出発点に進めてきた通年型リゾートへの転換を、新たな経営体制で加速させるという発表です。

助言にとどまらず、事業の実行を担う立場へ

今回の人事で注目したいのは、著名な競技者を迎えたという話題性に加え、役職に事業執行の責任が明示されていることです。発表では、皆川氏自身が現場から価値向上を牽引し、スタッフ、地域、各パートナーと連携する方針を示しています。

皆川氏は4度のオリンピック出場後、全日本スキー連盟の改革などに携わり、安比高原では約5年間、スキー場最高責任者として運営を指揮してきました。競技経験に加え、ブランド、商品、サービス、集客までを扱ってきた経営経験を、JAMの変革へつなげる人事と位置づけられています。

冬のJAM福井勝山マウンテンリゾート。滑走体験の価値向上が、四季の集客を考える出発点になる。
冬のJAM福井勝山マウンテンリゾート。滑走体験の価値向上が、四季の集客を考える出発点になる。
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)

ただし、今回のリリースで株式取得や買収、新たな所有者への変更が発表されたわけではありません。経営参画の発表を、資本関係の変更と混同しないことも必要です。

4月のリブランドを、冬と四季の来場へつなぐ

旧スキージャム勝山は、2026年4月1日にJAM福井勝山マウンテンリゾートへ名称を変更しました。冬の滑走だけでなく、山の自然や景観、宿泊、地域観光を含む旅の目的地を目指しています。

山上のJAMテラス。雪のない季節の景観も、来場する理由の一つ。
山上のJAMテラス。雪のない季節の景観も、来場する理由の一つ。
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)

グリーンシーズンには、標高約1,000mの山上にJAMテラスを開設。今回の発表は、こうした施設・ブランドの更新と、経営の実行体制を結び付けるものです。

皆川氏が示した方針では、まず冬の価値を磨き、その強さを春・夏・秋へつなぐという順番が重視されています。夏の施設を増やすことだけを通年化とするのではなく、山の自然と景観、音やアート、ホテルや食を、一つの体験として組み立てる考えです。

トリノオリンピック出場時の皆川賢太郎氏。
トリノオリンピック出場時の皆川賢太郎氏。
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)

「冬を磨く」と「通年化」は、同じ経営課題として見る

ここからは、発表を受けたSNOW MAKING編集部の経営上の視点です。通年営業を進める際、冬と夏を別々の事業として積み上げるだけでは、設備や人材の負担が増え、顧客への提案が散らばることがあります。

冬の強みが明確なら、そこで生まれた顧客との関係を別の季節へつなげやすくなります。一方、雪のない季節の景観や食、家族向け体験を入口にして、冬の滞在へ誘う経路も考えられます。相互に送客する仕組みができて初めて、四季の営業が一つのリゾート経営になります。

この接続を進めるには、ゲレンデとホテル、飲食、販売、広報が同じ顧客像を見ているかが重要です。今回のように事業責任を明確にする体制が、部門ごとの施策を束ねる方向に働くか。今後の具体策から見極めたい点です。

副社長兼リゾート事業執行責任者に就任した皆川賢太郎氏。
副社長兼リゾート事業執行責任者に就任した皆川賢太郎氏。
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)

経営者が見たいのは、名称や施設数の先にある実行指標

発表で皆川氏が明確にした使命は、四季を通じて来場者を増やすことです。ブランドや施設、サービスの変更を目的化せず、実際に訪れる理由へつなげる考えが示されています。

その方針を他のスキー場経営にも引き寄せるなら、次のような指標が役立ちます。以下は編集部が整理した観点であり、JAMが発表した数値目標ではありません。

見極めたいこと 確認する指標の例
冬の体験が選ばれる理由になるか 再来場率、顧客満足、目的別の利用、予約・受付の離脱
季節を越えて顧客がつながるか 冬から夏・夏から冬への再訪、季節別の新規顧客比率
滞在全体の価値が伸びるか 宿泊への転換率、泊数、館内利用、顧客当たり売上
来場増が利益へつながるか 商品別の粗利益、季節別の運営費、人員配置と稼働
地域との連携が相互送客になるか 周辺施設との回遊、連携商品利用、交通・送迎利用

来場者数の増加と同時に、どの商品が選ばれ、どれだけ滞在し、現場がどの負担で提供したかを見る。施設の規模や発信の反響だけでは、変革が経営成果につながったか判断できません。

ホテル館内の様子。宿泊と山での体験をつなぐ設計が問われる。
ホテル館内の様子。宿泊と山での体験をつなぐ設計が問われる。
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)

ホテル・温泉・地域観光を、部門を越えて設計する

JAMにはスキー場に加えて、全100室のオフィシャルホテル、温泉大浴場、屋内プールがあります。ホテルでは、宿泊料金にアクティビティ利用などを含むインクルーシブサービスも導入しています。福井県立恐竜博物館から車で約10分という立地も、地域を回遊する滞在の接点になります。

リリースで紹介された食のイメージ。
リリースで紹介された食のイメージ。
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)

こうした資産は、別々に案内すると個々の施設紹介になります。一方、「誰が、何時に到着し、どこで過ごし、何を食べて、翌日にどこへ行くか」まで接続すれば、旅の商品になります。交通やチェックイン、食事の時間がかみ合うことも、体験の質を左右します。

統括総支配人のコメントでも、現地スタッフが日々の接客から得る課題や可能性を皆川氏と共有し、福井・勝山ならではの体験へつなぐ方針が示されています。トップの構想と現場の実感が、商品と運用の変更に結び付くかが重要です。

冬の滑走風景。今後の具体的な施策は順次発表される予定。
冬の滑走風景。今後の具体的な施策は順次発表される予定。
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)

2026–27シーズンは、具体策を見極める段階へ

同社は新シーズンに向け、複数のプロジェクトを進めているとしています。ただし、具体的な改革内容や新商品・サービスは今後順次発表される予定です。現時点で料金改定や新設備、投資額、数値目標が確定したと捉えることはできません。

今回の人事が示したのは、通年化という方針を誰が実行するかという体制です。今後は、冬の滑走価値をどのように磨き、それを宿泊や四季の来場へどう接続するのか。経営者にとっては、発表されたテーマと、実際の商品・現場運用・収益のつながりを追う価値のある動きです。

JAM福井勝山マウンテンリゾート公式サイト


文:SNOW MAKING編集部
出典:勝山高原開発株式会社「皆川賢太郎氏の副社長兼リゾート事業執行責任者就任」プレスリリース(2026年10月8日10:00発表)
PR TIMESの発表原文
画像提供:勝山高原開発株式会社/JAM福井勝山マウンテンリゾート(PR TIMES掲載素材)。競技写真・施設写真を含め、発表資料の掲載画像を使用しています。
本記事は発表資料をもとに再構成した編集記事です。経営指標・部門連携についての分析は編集部の見解であり、同社が公表した計画や目標とは区別しています。

SNOW MAKING編集部

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SNOW MAKING編集部

SNOW MAKING編集部は、スキー場経営、雪づくり、索道・設備、人材、地域観光など、日本のスキー産業を支える現場の挑戦と技術を取材・編集しています。利用者と産業の双方に役立つ、正確で読みやすい情報発信を大切にしています。

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